デザイン提案は色違いだけではダメですよ Vol.272

ときどき、お客様から
「これどうしたらいいですか?助けて!」
とのご連絡をいただきます。

話を聞いてみると、
デザイナーに修正を繰り返しお願いしているが
思うようにデザインが上がってこないとのこと。

ちらっとデザインを見せてもらうと
なんだかパッと見た印象は似通った数案。

よくよく見ると
色をちょっとづつ違えてあるみたいです。
私から見ると色違いのカラーバリエーションが
並んでいる感じです。

それで、
「どれも同じに見えて選べないし、
修正をどう出して良いかわからない」と
ご連絡をしてこられたのでした。

この状況、
お客様(クライアント)の立場、
デザイナーの立場、
どちらの気持ちもわかります。

お客様は親切心から
素人ながらデザインを考えて
提案しますし、

デザイナーもお客様の
要望にしたがってデザインを修正します。

修正のやりとりを繰り返して
思ったようなデザインが上がってこないとなると
お客様もデザイナー側も双方とも
モチベーションが下がってしんどいですね。
いわゆる泥沼化というやつです。

このような事態は
あらかじめ防げることができます。
そのために大事なのは
デザイナーの「ディレクション力」。

「デザイン力」ではなく
「ディレクション力」です。

「デザインの提案の仕方」しだいで
防ぐことができるんですね。

その4つのコツをご紹介しますね。

1.レイアウトが違う案を提案する

例えば、
料理のメニューなら
4項目の料理名が箇条書きに縦に並んでいたら
別案として
田の字型の4項目に並べ替えてみる。

チラシや名刺なら
縦向きに加えて、
別案として
横向きを提案。
するとレイアウトは変わってきます。

また、横書き、縦書きだったり
大胆に、上に配置したものを下に配置したり。

細々、装飾を変えたりするよりは
レイアウトを大きく変える方が
全体的に「違う案」という印象を与えます。

その上で、色を変えれば
より効果的に違いが見せられるので
全く別のデザインに見えて
お客様も納得しやすいでしょう。

2.対照的なテイスト違いを提案する

「対照的なテイスト違い」とは
たとえば、A案が白いデザインなら
B案は黒いデザインを作るということです。

フォントの選び方も
A案が細い明朝体ならB案は太いゴシックにする。
すると、自ずとA案ならやさしい色味になるでしょうし
B案なら力強い男性をイメージするような
色味になるのではないでしょうか。

このように振り幅の広いデザイン案を
提案することで、
「もっと違うテイストのデザインを見たい」
というデザインコンセプトを揺るがすような
修正指示を受ける確率は少なくなります。

3.捨て案も提案する

デザインを作っていると、
「この案が選ばれて欲しい!」と
いうことはよくあります。

その案を選んでもらうために
引き立て役のような捨て案を作って
そっと混ぜておくのも一つの手です。

大概はおすすめの案が選ばれますが、
ときどき、その捨て案が選ばれることも…(汗)

いざ捨て案が選ばれて、
「あら大変!どうしよう」
ということにならないように
ちゃんと考えて作り込んだものを
提案してくださいね。

4.デザインは9割完成したデザインを提案

デザイン案の提案は
「9割完成したもの」ということは、
このメルマガで何度もお伝えしています。

作り途中のデザインは、
素人目にもツッコミところ満載です。

また口で完成したイメージを説明しても
お客様にとっては目の前にあるデザインが全てですので
素人であるお客様は想像ができません。

だからこそ、ほぼ完成した
デザイン案を提案することで、
お客様もイメージがしやいため
修正が具体的に言いやすく、
修正回数も少なくて済みます。

4つのコツは以上になりますが、
良いデザインを作っても
提案の仕方が悪ければ、選ばれないどころか
見向きもされないこともあります。

そうならないために
デザイナーは一手先回りして提案するという
見た目のデザインとは違う「仕事の進め方」、

つまり「デザイン力」というよりは、
「ディレクション力」が大事になってくるんです。