デザインの打ち合わせで大事なこと ~その63(1)~
チラシやリーフレットを作成する前に何が必要なのでしょうか?
先日、対照的な二人のお客さまと打ち合わせをしました。
一人は、インターネットでジュエリーを販売しているお客さま。もう一人は、マッサージ師です。
インターネットでジュエリーを販売しているお客さまは何十万円もする商品を売っています。
インターネットでアプローチしづらいネット難民のお客さまに自社のWEBサイトを知ってほしいとのことで、チラシの作成をご希望されました。
このお客さまとの打ち合わせは、ご自身が勤めを辞めて家業の宝石店を継いだこと、宝石業界の裏表の話を聞かせていただき、さらにはネット通販の肝である自社のアクセス解析の「googleアナリティクス」まで見せていただきました。
つまり、洗いざらい、いいことも悪いこともすべてオープンにお話いただいたのです。
そのおかげで、十二分に商品の魅力が伝わりましたし、 ジュエリーにあまり興味のない私でさえも、質も良くお買い得で「欲しい!」と思ったのです。さらには、誰かにお勧めしたいとも思いました。
そして、もう一人のマッサージ師のお客さまはご自身のお店を紹介するためのリーフレット作成がご希望でした。
そのマッサージ店のお客さまは、紹介に次ぐ紹介で来店しているとのこと。口コミで広がっているのです。 質が良いサービスでなければ口コミで広がることはありませんので、ほんとにすごいことです。
口コミが広がっているので、リーフレットの内容は集客が目標ではなく、サービスを紹介したいとのこと。 ご自身が作成した原稿があるので、それに準じてデザインして欲しいとのことでした。
原稿の内容は、
・国家資格を持ったマッサージ師であること
・マッサージの対象者(腰痛・肩こりなど)
・どのような効果が期待されるか(筋肉の緩和・血行促進など)
・料金
・マッサージ師として20年以上培ってきた技術を役立たせたいという趣旨のメッセージ
しかし、これでは、近所のお蕎麦屋さんが配っているような、文字だけの出前用お品書きと同じです。
そのお客さまに、「なぜ、口コミで広がっているか」と質問してみると、「マッサージがうまいからじゃないでしょうか」という答え。
次に、たくさんあるマッサージ店の中で、 よそに負けない強みを聞いてみました。
「国家資格を持っていることかなぁ」とのこと。ただ、集客重視の内容にはしたくないので、強みである「国家資格取得者」と載せることに積極的ではありません。
お店のイメージカラーを聞いてみると、「ない」、好きな色を聞いてみると、「特にない」。
いやー、困りました。
このマッサージ店には口コミでお客さまが来店しているとはいえ、どこが魅力的なのか感じ取ろうと、私が他にもあれやこれやと質問するのですが、霧がかかっているようなはっきりしない答えばかり。正直なところ、少しも魅力的だとは感じませんでした。
おそらくお店を紹介するリーフレットなので、売り込みは一切やりたくないし、売り込み色も出したくないという心情が働いているのでしょう。
紹介を目的としたリーフレットであっても、 内容が魅力的でなければ一方通行になります。
また、一対一で顔を突き合わせて話しているのにも関わらず、相手に魅力が伝わらなければ、多くの人に伝わるわけがないと私はこの打ち合わせを通じて感じていました。
<その63 つづく>