店員の役目を担うのがPOP 〜その92〜
お気に入りを見つけるのに、何軒もお店をまわるのは疲れます。
岡山は、国産ジーンズの発祥地だと、皆さん、ご存知ですか?
地場ジーンズメーカーの販売店を商店街に集めて活性化を図っている地域もあるほどです。
おしゃれなお店が多く、どの店員さんも積極的な接客で、ジーンズを作る技術を細かく解説してくれます。
ジーンズを作っているという誇りをとても強く感じました。
その中の一軒のお店の話を紹介します。
その店は、店員さんがひとりで切り盛りしています。
私がコートを見ていると、 そのコートの生地の織り技術の高さやこだわりを教えてくれました。
私はその話に聞き入り、質問をしたり、 他の服の説明もしてもらいました。
しかし、その店員さんは私にかかりっきりなので、別のお客さんがお店に入ってきても、接客はできません。
そのせいか、別のお客さんたちは、棚に並んでいる洋服をサラッと見てすぐにお店を出てしまいました。
高度な技術で作られた洋服なのに、それを知らずにお店を出て行ってしまうのです。
すばらしい価値を私だけが聞いているのは、とてももったいないと思いました。
思わず店員さんに、「この洋服の高度な技術をもっといろいろな人に知ってもらった方がいいと思いますよ。商品の横にPOPを貼ってみてはどうですか?」と大きなお世話ですが、ついつい言ってしまいました。
店員さん曰く「POPをつけるとおしゃれな雰囲気が台無しで、店長が嫌がる」とのこと。
おそらくスーパーのPOPや書店のPOPなどを想像されているのでしょう。
たとえば、POPをポスター型にしたり、ポストカードにしたり、洋服のタグにするなど、一口にPOPといっても、さまざまな工夫ができると思うのです。
センスのよい服を作っているのだから、それと同じように、服やお店の雰囲気を壊さないような工夫はいくらでもできるはずです。
「POP=ダサい」というイメージがあるせいか、 そのお店の周辺にも、POPを貼っているお店はほとんどなく、店員さんが積極的に接客するというタイプのお店ばかりでした。
いい商品を探そうと、いろいろなお店を見て回るのは結構体力が必要で、一旦お店に入ると、出にくくなってしまいます。
そうなると、お店巡りは、ずいぶん億劫になってくるのではないでしょうか。
私は、商品の価値が分かれば、高い商品でも買うと思っています。
現に私も店員さんの話を聞いて、コートを買ってしまいました。
せっかくいい商品を売っているのに、「もやもや」としてしまった出来事でした。