デザイナーは時にはコンサルの役割も 〜その2〜
デザイナーの役割って何ですか?
前回は、パンフレット制作の依頼主である工務店が自身の店が伝えたい内容が決まっていない例を取り上げました。
独身の男所帯の工務店が、判断の決定権が女性にあると言われる「住まい」をいかにして売るのか、HAT TOOL DESIGNと工務店とのやり取りの続きを紹介しましょう。
家の設計図面を作成するまでには、将来の暮らし方、家族未来図など、何度も話し合いを重ね、時間をかけ、修正を重ねるものだと思います。
しかし、その工務店は「100年持つ工法で家を建てる」ことと、図面作成用アプリを使って図面を作るので、相談を受けた当日には図面と概算見積もりを提出できることが売りとのことでした。
相談を受けた当日に図面と見積もりを提出とは、随分と早い対応なので、大丈夫なのだろうか思いましたが、よく考えると、設計図を作成する前の段階にいくつもの疑問が浮かび上がりました。
・家を建てるにはそもそもいくらかかるのか
・ローンはどのように組むのか
・土地はどうやって探すのか
・どのような間取りがいいのか
・どこに依頼すればいいのか
など、漠然とした疑問ばかりが浮かびます。
とにかく、どうすればよいのか分からない方が多いのではないでしょうか。
私自身も自宅マンションを少しリフォームする際に、どこに依頼すればいいものか、いくらかかるのかが全くわからず、ネットで検索しましたが、どこも同じように思えてしまいました。
その頃、悪質リフォーム会社のニュースも話題になり、結局、建築事務所で働いた経験のある友人に紹介してもらいました。
そのような経験もあり、図面と見積もりがすぐ分かり、さらに、疑問にすぐ答えてくれる点が「売り」になるのではないかと思いました。
家を建てたいけどまず何をしてよいか分からない方へアプローチするために、「来るもの拒まず」の相談しやすさをアピールしたパンフレットにしてはどうかと提案しました。
すると、お客様の表情がパッと明るくなり、自社が目指すビジネスモデルが見えたとのこと。
これって、パンフレットの相談を受けただけのデザイナーが会社の進むべき道を左右する重要なことの決定に関わった瞬間だと思いませんか?
こちらとしても、「お客様の売り」はどこにあるのかを考えて提案し、しっかり理解していただけたので私も表情がパッと明るくなりました。