女性っぽいデザインに秘められた色の調整
以前、メルマガ読者との交流会で、次のような話が出ました。
「男性が作った女性向けのデザインは、女性から見ると男性が作ったものだとすぐわかる」というものです。HAT TOOL DESIGNの女性のお客様も100%の割合で男性が作ったデザインだと分かると言います。
なぜわかるのでしょうか。女性の勘なのでしょうか。私は、男性が使う「色」がキツく、強いからだと思っています。
例えば、女性は一般的にピンクが好きですが、ピンクといってもさまざまなピンクがあります。
分かりやすく、色の例を作ってみました。
どちらも「ピンク」ですが、左右どちらのピンクが「やわらかい」雰囲気がしますか?
右側だと思う方が多いのではないでしょうか。
どちらかというと、右側がやわらかく、ふくよかな感じがするかと思います。ちなみに数値は、左がR255、G0、B255で、右がR255、G108、B200で、右側の方が色の数値を複雑に設定しています。
ちなみにCMYKにも変換してみましょう。
ただし、JPEGに変換しているので、実際の数値は異なってしまいます。
単純に濃い、薄いの差ではありません。
薄いピンクで左右を比べると色を組み合わせることによって生じるやわらかさを感じませんか?
左はマゼンダ40%、右はマゼンダ35%とイエロー10%です。
次に、濃いピンクで左右を比べてみましょう。
左はマゼンダ80%、右はマゼンダ65%とイエロー15%の組み合わせです。
右側の方が淡く、やわらかく感じるかと思います。
ブルーの場合も比べてみましょう。微妙な違いですが、右側は色を組み合わせています。
左がシアン40%、右がシアン40%とイエロー7%です。
濃いブルーの場合、この画像では、右側の方がやわらかな色に見えるのではないでしょうか?
ちなみに、左がシアン80%、右がシアン70%でイエロー15%です。
いくつかの例を見ていただきましたが、一つずつを比べると微妙な差異ですが、デザイン全体で見ると、力強く、きつく感じてしまうのだと思います。
例外として、さらに薄い色の場合、色を組み合わせると濁って見えてしまうことがあります。
その際は、マゼンダ7%やシアン5%などの単色でもよいかと思います。
女性向けのデザインは、単純に表現すると、「ピンク」や「淡い」ですが、この「淡い」は「薄い」ではないのです。
「淡い」を表現するには、単色ではなく、色の組み合わせが重要です。
とはいえ、ほんのちょっとした色の調整なのです。