チラシ&パンフレットが捕らわれる”知の呪縛” ~その4(1)~
「”知の呪縛”とはなんですか?」
自分一人だけの判断でチラシやパンフレットを作成する際に
陥りやすく、たいていの人が見落としがちな
ミスについてお話します。
「ハットツール」にチラシやパンフレットなどのデザインをご依頼いただく場合
お客さんに直接、原稿を書いていただくこともあります。
できあがってきた原稿を読むと
その業界の専門用語ばかりが目立ったり、
見る人にとっては関係のない解説が長々と書かれていることが
よくあるんです。
これは、”知の呪縛”と呼ばれています。
(書籍『アイデアの力』より)
この著書『アイデアの力』の中に
”知の呪縛”にまつわる実験が載っていました。
「たたき手」「聞き手」のふたつに分けた実験です。
「たたき手」は、誰もが知っている
曲のリズムを指でたたくとき
いやでも自身の頭の中にメロディーが流れます。
でも「聞き手」に聞こえるのは
モールス信号のように脈略のないリズムだけ。
この実験で「たたき手」は「聞き手」が
メロディーをつかめないことに
唖然としたという話しです。
すなわち、「たたき手」は
知識(曲名)が与えられているので
「知識のない状態が想像できない」
ということなのです。
この状況をチラシ&パンフレットに置き換えると
専門家が一般の人に向けて「説明したつもりでも
理解しにくいこと」が多々あると理解できるでしょう。
例えば、以前あった事例を紹介しましょう。
ある動物から抽出されたオイルを配合した化粧水。
このオイルは知る人ぞ知る希少性の高いオイルです。
そのオイルは保湿と浸透力に優れており
化粧品自体の品質は申し分ないのですが、
その成分がいかによいかを細かく専門的に説明しすぎて
肝心な値段や写真を掲載するスペースがありませんでした。
自分たちが長い間、研究や開発に携わってきて、
それがとても素晴らしい商品だとわかっていても
「意味を知らない人がいることや、
知らない状態がどんなものか」
まったく想像できなくなっていたのです。
このことから
自分の知識を他人が共有することが
いかに難しいのかを認識しておく必要があると思います。
単なる認識不足のせいで、
サービスや商品価値が伝わらなかったり、
逆に不信感を持たれて
読み手を遠ざけてしまったりします。
せっかくお金をかけて誠意をこめて作成した
チラシやパンフレットが
役に立っていないのでは、もったいないですね。
<その4 つづく>