マネをされるからWEBに詳しいことは載せない?
先日、九州でペットシッターの会社を経営しているお客様のホームページリニューアルの打ち合わせを行いました。
現在のホームページには、「サービスの流れ」は載っているものの大まかなことしか掲載されていません。
私は「詳しく載せた方が見る人にとってはサービスを知ることができるので、安心だと思います」とアドバイスすると、「他人がそれを見てマネをしてしまうのです、それに、現在、働いているスタッフも独立したいと言っているので、そうなるとライバルが増えてしまう」とのこと。
このような考え方は、案外、多いのではないでしょうか?
その気持ちはよく分かります。現に私も「女性目線のデザイン」というキャッチフレーズやコンセプト、デザインのシステムなどをマネされるは嫌だと思っていました。
しかし、絶対にマネをされないものは「私自身」。そして、私が考えて作る「デザイン」や「提案」も同じです。
そこで、顔を掲出したり、デザインの実績を出したり、自分自身のことを発信しているわけなのです。
話は戻り、ペットシッターのお客様の場合、ペットに対する愛情や向き合い方が半端ありません。
このお客様がペットシッター事業を立ち上げた理由は、一人暮らしの際に10年間飼ってた愛犬が膵臓の病気を患ったことがきっかけです。
病状の進行が早く、あっという間に1日中つきそう介護生活になったとのこと。
そのため、会社も辞め、自宅と病院を昼夜問わずに往復して本当に大変だったそうです。
そのときに、こんなサービスがあったらいいのにと思ったそうです。
私は今でこそ何も飼っていませんが、子どもの頃から犬を飼っており、多い時には3匹、
その他にもインコが15羽、うさぎが1匹、ニワトリが2羽など、あらゆる動物を飼いました。一時期、近所の人には「京都の動物王国」と言われていたほどです。
どの動物も大切に飼っていましたが、このお客様のように病気になった犬のために、会社を辞め、自分の生活を一変してまでの飼い方をしたかというと、そこまではしていませんし、できなかったでしょう。
私がペットの飼い主なら、こういう愛情の深いペットシッターにぜひお願いしたいと思ってしまったほど、簡単にマネできることではないと私は思っています。
このお客様には「マネされてもいいじゃないですか! それよりも大事なことは詳細を載せて、この人に頼みたいと安心して問い合せてもらうことが先決だと思います。だからこそもっと、会社を立ち上げた時のエピソードや愛情深いエピソードをページ内に散りばめるようにしましょう」と、提案すると雲が晴れたように「そうですね! そうします!」と元気なお声で返事をいただきました。
パッと思いつくような日本の大企業のビジネスモデルは、アメリカで成功したものをマネしたものが多いと聞いたことがあります。
大企業でもマネすることが当たり前なのですから、ペットシッターの業務内容をマネされるのはもはや時間の問題で、あまりいい気はしませんが、仕方がないことだと思います。
同じようなビジネスで、同じような価格帯であれば、大切なのは「誰から買うか?」ではないでしょうか?
すなわち、アイデンティティーやブランドが重要になのだと思います。
他人にマネできないものがあることを当の本人は気付いていないことが多く、「その部分」に気付いて引き出すことも作り手であるデザイナーの重要な役割です。
打ち合わせの際、自らで「その部分」を喋っていることがよくあるのです。