“シンプル”なデザインとは、どんなデザイン?
お客様との打ち合わせで、「どんな雰囲気がいいか?」というご希望のデザインテイストについて質問をすると、「シンプルなデザインが希望です」と言われることがあります。
この「シンプル」という言葉は、人によってそれぞれ思い描くイメージが異なっているということはありませんか?
以前のブログで、「かわいい」に関しても、年代や性別によってイメージが異なるということについてお話しました。
それと同じように、「シンプル」に至っては、デザインに慣れ親しんでいる人とそれ以外の人とのズレがある言葉だと思っています。
私の思うシンプルなデザインとは、「無駄がない、削ぎ落とされている」ことです。
例えば、千利休が茶室の周りに咲いていたたくさんの朝顔の花をすべて切り落として、茶室に一輪だけ生け、「一輪の花の美しさは数多くの華やかさに勝る」という言葉を残しています。
このように、「そのものを際立たせるために無駄をすべて削ぎ落とす」のが「シンプル」だと私は思っています。
ある意味、「シンプル=前衛的・アバンギャルド=奇抜」という感じです。
デザイナーの夫にも「シンプルとは?」と尋ねると、「日本の国旗はシンプル。ヴェルヴェットアンダーグラウンドアンドニコのバナナのレコードジャケットもシンプルに見える。iPhoneのデザインもシンプル。余白が多いのがシンプルなのかな」とのこと。
シンプルにもいろいろな種類がありそうです。
その一方で、先述したようにお客様と打ち合わせをして「シンプルなデザインがいい」と
言われた場合、デザインの方向性としては「奇抜」ではなく、「文章は少なめで短く」「色数を少なく」「背景は白」などと推測します。
とはいえ、チラシの場合は、パッと見て目に止まらなければならず、ある程度の派手さは必要で、さらに、しっかり伝わらなければならないのである程度の文字量も必要です。
つまり、「シンプルなデザイン」は、誰もが知っている有名な会社や商品などのチラシであればよいのですが、誰もが知らないものには適さないと思っています。
以上のように、「シンプルについて」いろいろ思っていることもあり、お客様から「シンプルなデザインを希望」とオーダーされると、着地点が難しいため「???」と心の中で思い悩んでしまいます。
とりあえず、色数を少なく、見た目にもごちゃごちゃしていない方向で何とかまとめ上げるようにしています。
みなさんが考える「シンプルなデザイン」について、よければお教えください。