デザインの打ち合わせはカウンセリング 〜その135(2)〜
お客様から何を感じ取ればよいでしょうか?
フェミニンなテイストのロゴを要望されている花屋さんでしたが、持ち物はすべてはっきりした色合いのものばかり。
そんな依頼主への対応の仕方を前回に引き続き紹介します。
フェミニンな薄い色味はどうも似合わないと私は感じました。
いくらお客様ご自身が要望されているとはいえ、そのような女性らしい優しいテイストのロゴを提案したところで、おそらく選ばないのではないかと思ったのです。
そこで、その旨を正直にお話しすると、 「本当は元気でビビットな色が好き」と教えてくれました。
私の直感は当たりました。
お客様曰く、店を開業するにあたり、お父様に少し出資していただいたとのこと。
そのお父様から、「花屋なので女性らしい、おしとやかなテイストがいいのではないか」とアドバイスがあったそうです。
確かに出資していただいた方のアドバイスは無視できませんので、そのお気持ちはわかります。
しかし、前回紹介した洋服の話と同じように、自分にとって似合わない服を着ていると自信が持てないだろうし、テンションだって上がりにくいのではないかと思うのです。
また、お店に来るお客さんにしても、ロゴと店主の雰囲気が違うのは、きっと違和感を感じるはずです。
この流れで、 女性らしいおしとやかな 「フェミニン」テイストと、 私が似合うと感じたビタミンカラーを使った元気いっぱいのテイストの2種類の方向性でご提案しました。
その結果、選んだのは、やはり元気いっぱいのテイストでした。
選んだ理由は、 「一番しっくりきた」とのこと。
やはりそうなのです。
ロゴというのは、特に新しく起業するお客様からご依頼いただく場合、 ずいぶんと背伸びしたテイストをご要望される方がいらっしゃいます。
HAT TOOL DESIGNでは、ご要望されたテイストが合わないと判断した場合は
・お客様が要望されたもの
・HAT TOOL DESIGNが似合うと思っているもの
の2種類を提案します。
その場合、ほぼ全員が 「HAT TOOL DESIGNが似合う」と思った方を選びます。
打ち合わせの中で、 お客様本人も気づいていない、奥にある真意を感じ取り、デザインに落とし込むのが、デザイナーの仕事です。
これは、一見難しいようですが、必ずお客様の話の中やご自身の雰囲気に出ているので、実はそれを汲み取るだけなのです。
こちらが提案したデザインがお客様の真意と合致すると、良い意味でお客様の予想を裏切り、 とても感動していただけます。
そう考えると、打ち合わせからお客様の真意を読み取るデザイナーという職業は、カウンセラーと通ずるものが あると思いませんか?