そっくりさん名刺を頼まれた 〜その114〜
おしゃれなデザインがすべてではないこともあるのですね。
先日、懇意にしているお客様から、 「父親の自治会の名刺を作って欲しい」と急遽頼まれました。
70歳を過ぎ、自治会で頑張っていらっしゃる、実に元気なお父様です。
名刺のデザインは今使っている名刺そのままでよいとのこと。
その名刺を送っていただくと、こんな感じです。
郵便番号が横組みで窮屈であったり、自治会事務所の箇所が上に飛び出していたり、全体的に文字の組み方が気になります。
そのままのデザインでよいとはいえ、デザイナーとしてはこのまま作成するのも気が引けます。
下記のように、文字組みを上揃えに少し組み直し、書体も一般的な明朝体(ヒラギノ明朝)で強弱をつけ、電話番号のハイフンも短いものに修正して、校正を出しました。
すると、お父様からは「名前の下の空間が広くて、全体的に前の方がよかった」というお返事。
よかれと思って手直ししたのですが、 余計なことだったようです。
プロのデザイナーとして気になる箇所の文字組みを修正し、整えたつもりでしたが、「昔から馴染みのある安心感」には敵わないこともあるのだなと思いました。
ということで、再度作り直し。そっくりな名刺をそのまま作って、OKをいただきました。