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直接会って打ち合わせするメリット
今回は私の営業の手の内を少しだけあかすような内容が盛り込まれています。
HAT TOOL DESIGNでは、デザインを作成する前に、可能な限り直接お会いして打ち合わせをしています。
遠方の方の場合でも、電話やスカイプなどで私が直接打ち合わせをします。
この「直接、話をする」ことが好評で、新規のお客様には「直接会って打ち合わせできるところを探していました」と喜ばれます。
これまで、私は「会う」のが当たり前だと思っていましたが、当たり前ではないようです。
というのも、お客様から聞いた話ですが、メールのやり取りだけで済ますというデザイン業者さんもいらっしゃるようです。
「会う」ということはあらかじめ準備も必要ですし、それぞれ「会えない」事情はあるかと思いますが、直接会って打ち合わせすることは、お客様だけでなく、実は発注されるデザイナーにとってもメリットがあると思います。
まず第一に、「お客様と親しくなりやすい」ということです。
その理由として、相手の雰囲気を目や耳など五感から感じ取ることができるからです。
例えば、目からの情報は、見た目・身だしなみ・持ち物・表情などを通じて、読み取ることができます。
耳からの情報は、声の質・大きさ・速さなどを通じて、感じる取ることができます。
それによって、相手への気遣いや熱心さなども伝わりやすいかと思います。
そういうものを感じ取ったた時、たいていの場合は悪い印象は持ちません。
私自身がそうなので、お客様もおそらく同じ思いだろうと思っています。
そんなお客様の話を深く聞くうちに「何とか力になりたい!」と心が動きます。
そして、お客様の商品やサービスが「好き」になります。
例えば
・この商品(サービス)あまり良くないな
・この品物を買う人いるのかな
・誰が興味をもって見るんだろう
と思いながら、デザインを作成するのは苦痛です。
しかし、しっかりお客様を知ることで、デザインを作るモチベーションも上がり、アイデアも出やすくなります。
そうなると、良いデザインができる気がしてきませんか?
第二に、お互いに仕事ができる関係性が構築できるかを知ることができます。
打ち合わせというと、事務的な印象に感じられるかもしれませんが、お互いに面接しあっているとも言えます。
かつて、お客様に「デザインをお願いできる方なのかどうかをお話をしながら判断させていただきたい」と言われたことがあります。
つまり、打ち合わせをしながら面接をされるということです。
何事かと、ちょっと構えてしまいました。
しかし、同時にデザイナーにとってもお客様の、人となりを知るチャンスなのです。。
・仕事に対する熱意
・どうしてハットツールデザインに頼みたいか
・世間話から共通の話題がないか
これらはメールだけではなかなか伝わりにくい部分です。
さらに、
・真面目そうな人か
・几帳面な人か
・支払いは大丈夫か
といったことまで知ることができます。
信頼関係を築き、繰り返し発注していただくためにもまずは、直接会って打ち合わせをすることが大切だと思います。
反応が悪い! デザインを変える前に
「デザインをしたチラシの反応が悪い。このデザインが悪いんじゃないかな」
デザイナーならこういった内容をお客様に言われたことはありませんか?
「集客」を目的とするデザインの場合、キャッチコピーをドーンと大きく入れて、全体的に目立つことを意識してデザインをします。
にも関わらず、「反応が悪い」と言われると、「デザインを作った自分が悪いのかな」とデザイナーなら自分自身を責めてしまうこともあるかと思います。
その気持ち、とてもよく分かります。
しかし、自分自身を責める前に見直して欲しいのが「配り方」なのです。
反応が悪いそもそもの理由として、まず思い浮かぶのが、
(1)ターゲットを間違えている
(2)気づかれてない
(3)気づかれたけど忘れられている
(4)商品が悪い
(5)興味がない
他にもまだあるかと思います。
デザイナーとしてどうすることもできない(4)と(5)はひとまず置いておき、(1)(2)(3)はデザインを変更する前に、配り方を工夫できると思います。
例えば、「(1)ターゲット」では、
・ポスティングのエリアを変えてみる
・ポスティングを手渡しに変えてみる
・手渡しの場所を変えてみる
・置く場所を変えてみる
・新聞に折り込んでみる
など。変更する内容はいくつもあります。
また、(2)と(3)の気づきに関しては、1回配ったチラシは3回までは配り、反応を確認するという定説があります。
1回配っただけでは、その時、見ていない人や気づいていない人、見たけど忘れていたという人もいるでしょう。
だからこそ、間を空けて2回、3回と配理、反応を測るのです。
それでも反応が悪ければ、キャッチコピーが悪いということもあります。
反応が悪いことの責任をなすりつけ合うのではなく、配布の仕方、範囲、枚数、時期など、まずは原因となることを聞き、きちんと探ることが重要だと思います。
この経験を活かして次に繋げるために、原因を聞いて、なぜ悪いのか仮説を立てるのです。
そのためにお客様に食らいついて、しっかり聞いてください。
あえてダサめのデザインの方がよい
かつて、私がWEBデザイナーだった頃は、「電博(電通・博報堂)」といった広告代理店から依頼される大企業のWEBサイトをデザインしていました。
時代は2000年ごろのネットバブルの時代。
今のようにアクセスビリティーなどうるさくなく、プラグインのFlashでガシガシ動くような、イメージ優先のおしゃれなWEBサイトをデザインしていました。
そこからイベントや芝居を制作する会社に転職し、紙のデザインを手がけます。WEBよりも紙のデザインの方がおもしろくなり、グラフィックデザインに移行。
とくに、芝居は、チラシやポスター、パンフをデザインする役割を「宣伝美術」といい、しっかりスタッフのクレジットに載ります。
どちらかというと、アート作品の制作に近いといえます。
つまり、デザインのテイストは「カッコいい」「個性的」「美しい」といったイメージ優先のデザインが求められていました。
私がHAT TOOL DESIGNを立ち上げるまでは、このようにイメージ優先のデザインを作ってきましたが、これは誰もが知っている商品や大企業の販促物、あるいは有名な芸能人を起用したチラシであったため、イメージ優先のデザインが通用したのだと思います。
「デザインはかっこいいもの」と思い込んだまま、その後、会社を辞めフリーランスのデザイナーになりました。
それを機に自分自身のWEBサイトを立ち上げました。
今までのデザインセンスを活かし、シンプルでおしゃれなデザインでしたが、まったくアクセスされず問い合わせもありません。
悩んだ末、私はネットビジネスの門をたたきました。
そこで成功している事例を見てびっくり。
お世辞にも「いい!」とは言えないものばかりなのです。
正直いうと、素人丸出しの「ダサい」デザインのWEBサイトに、多くのアクセスがあり、商品がバカ売れしているではありませんか!
商品そのものがいいという前提はありますが、こんなデザインでも集客でき、モノが売れることに、横っ面をひっ叩かれたような衝撃でした。
先日読んだお笑い芸人のキングコング西野亮廣さんの本にこんなことが、書かれていました。
“「オシャレをとるか?集客をとるか?」『オシャレ』を選んでしまうとオシャレ感度の高いお客さんは呼べるけど、一方で、自分のセンスに自身が持てないお客さんが離れてしまう。オシャレには「排除」の力学が働くわけだ。
一方、『集客』を選ぶのであれば、「少しダサい」は受け入れなきゃいけない。”
ということで、東京で配るチラシと地方で配るチラシはデザインが違うとのこと。
ちなみに、東京には、オシャレじゃない場所を避ける人も多いので、東京で配るチラシはダサすぎないようにし、地方で配るチラシは「私が入っても大丈夫」と思ってもらえるようなデザインとのこと。
実際のチラシのデザインは、西野亮廣さんの『新・魔法のコンパス』に掲載されているので、そちらを参考にしてください。
『オシャレは「排除」の力学が働く』
なるほど。そういうことなのです。
例えるなら、自分が道に迷った時に気軽に道を聞きやすいのはファッションモデルのような最先端のファッションでキメてスタスタ歩いている人よりも、地元に住んでいそうな普段着で歩いているおじさんやおばさんなのではないでしょうか。
ファッションモデルは、近寄りがたい雰囲気がありますし、その点、普段着のおじさん、おばさん(決して、普段着がダサいとは言いませんが)は親切そうな雰囲気であったり、安心感や親しみを感じとって、尋ねるのではないでしょうか。
デザインも同じように、「集客」を考えるならば普段着のようであり、カッコよすぎないようにすること、分かりやすく言うなら、あえて「ダサめ」のデザインにすることが見る人に安心感を与えるのではないかと思っています。