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デザインの元データを渡した苦い思い出

元データは簡単に流用されませんか?

デザイナーがWEBサイトの質問コーナーで、「デザインの元データが欲しいと言われたらどうしていますか?」と相談していることがよくあります。

 

HAT TOOL DESIGNでも、デザインを作成して印刷をした後、時々、「デザインの元データをください」と言われることがあります。

 

お渡しする場合は、数万円を別途いただいています。

 

お客様は「えっ!デザインのお金を払っているのに、元データはもらえないの?」という表情をされることがあります。

そのお気持ちもよく分かります。

 

しかし、HAT TOOL DESIGNの場合は、見積もりにあらかじめその旨を明記しているので、元データの代金はいただくようにしています。

 

このようにしっかりシステム的に計上するようにしたのは、あることがきっかけでした。しっかりと料金をいただいた方がいいなと思ったのです。

 

それは、私が、会社を辞めてフリーランスになった1年目のことです。新規オープンのお店のメニューやチラシ、ポスター、お箸袋に至るまでデザイン一式の依頼がありました。

 

メニューのデザインを作り終えた頃、「季節ごとに食材が変わり、自分で料理をどんどん変えていきたいので、メニューとチラシのデザインの元データを欲しい」とお店の方に言われ、全部お渡ししました。

 

そしていよいよオープンの日。

オープニングパーティーでお店に入ってびっくり!

 

メニューのデザイン内に使っていた背景の柄が、お店の内装のガラスや壁紙に使われていたり、チラシが引き伸ばされて、店頭のA看板になっていたのです。

ホームページには、メニューの柄やアイコンがそのまま使われていました。

 

その時は一式ご依頼いただいたので、大目に見て何も言いませんでしたが、単純にメニュー作成費とチラシ作成費だけしかいただいていなかったので、後からガラスや壁紙の柄、ポスターになったものを見ると、なんとも後味が悪かったです。

 

そのような経験を経て、今では提出する見積もりの備考欄に「料金に含まれるもの」として「デザイン費・印刷費・送料」の下に、「※デザインの元データのお渡しは含まれていません」とサラリと必ず記載するようにしました。

 

大体の方は、あらかじめ元データが欲しい場合に料金を問い合わせされますし、先述のように、欲しいという方とももめることはありません。

 

ちょっとしたことですが、「初めの見積もり段階ではっきり提示しておくこと」を苦い経験で学びました。

 

 

デザイナーは時にはコンサルの役割も 〜その2〜

デザイナーの役割って何ですか?

前回は、パンフレット制作の依頼主である工務店が自身の店が伝えたい内容が決まっていない例を取り上げました。

独身の男所帯の工務店が、判断の決定権が女性にあると言われる「住まい」をいかにして売るのか、HAT TOOL DESIGNと工務店とのやり取りの続きを紹介しましょう。

 

家の設計図面を作成するまでには、将来の暮らし方、家族未来図など、何度も話し合いを重ね、時間をかけ、修正を重ねるものだと思います。

 

しかし、その工務店は「100年持つ工法で家を建てる」ことと、図面作成用アプリを使って図面を作るので、相談を受けた当日には図面と概算見積もりを提出できることが売りとのことでした。

 

相談を受けた当日に図面と見積もりを提出とは、随分と早い対応なので、大丈夫なのだろうか思いましたが、よく考えると、設計図を作成する前の段階にいくつもの疑問が浮かび上がりました。

 

・家を建てるにはそもそもいくらかかるのか

・ローンはどのように組むのか

・土地はどうやって探すのか

・どのような間取りがいいのか

・どこに依頼すればいいのか

など、漠然とした疑問ばかりが浮かびます。

 

とにかく、どうすればよいのか分からない方が多いのではないでしょうか。

 

私自身も自宅マンションを少しリフォームする際に、どこに依頼すればいいものか、いくらかかるのかが全くわからず、ネットで検索しましたが、どこも同じように思えてしまいました。

 

その頃、悪質リフォーム会社のニュースも話題になり、結局、建築事務所で働いた経験のある友人に紹介してもらいました。

 

そのような経験もあり、図面と見積もりがすぐ分かり、さらに、疑問にすぐ答えてくれる点が「売り」になるのではないかと思いました。

 

家を建てたいけどまず何をしてよいか分からない方へアプローチするために、「来るもの拒まず」の相談しやすさをアピールしたパンフレットにしてはどうかと提案しました。

 

すると、お客様の表情がパッと明るくなり、自社が目指すビジネスモデルが見えたとのこと。

 

これって、パンフレットの相談を受けただけのデザイナーが会社の進むべき道を左右する重要なことの決定に関わった瞬間だと思いませんか?

 

こちらとしても、「お客様の売り」はどこにあるのかを考えて提案し、しっかり理解していただけたので私も表情がパッと明るくなりました。

デザイナーは時にはコンサルの役割も 〜その1〜

伝えたい内容がわからないのですが。

 

チラシやパンフレットを作成する際、どのような内容を記載するのかをまずは考えます。

 

お客様ご自身で記載する内容がまとまっているのであればよいのですが、まったくまとまっておらず、ただ、「宣伝したい!」という場合、こちらも困ってしまいます。

 

時には、「それはあなたの会社の方針で、私のようなデザイナーが決めることではない」ということもありませんか?

 

また、社自体の方針など核となる部分がしっかり詰まっていないので、トライ&エラーが続き、制作が難航しそうだと感じることもあるでしょう。

 

これは、「デザイナーあるある」ではないでしょうか?

 

先日、工務店を営んでいるお客様から木造住宅を建てたい方向けのパンフレット作成依頼がありました。

 

一般的に、キッチンなどデザインや間取りなど、決定権は女性側が多く、住宅は女性や家族をイメージした商品です。

 

しかし、この工務店の依頼主は独身。

スタッフもみな独身の男性ばかりとのこと。

 

独身男性ばかりの会社だと、正直、「住宅=暮らし=家族」といった、子どもが成長し、年老いて夫婦で暮らすイメージは打ち出しにくいでしょう。

 

また、一生に一度の高額な買い物なので、将来の暮らし方を施主に丁寧にリサーチして建てるという流れを打ち出すには説得力が弱いかと思いました。

 

そもそも、私にとって家を建てることは、施工会社にたくさん話を聞いてもらい、「ああだ、こうだ」と話し合いながら何度も修正をして設計図面を作成するもの、家の完成まで時間がかかるものだと思っていました。

 

また、一般的にどの住宅メーカーをみても、そのように打ち出しています。

 

依頼主の工務店には正直に、「どのような売りでパンフレットを作ればよいのかよくわかりません」とお話しさせていただきました。

 

進行の先が見えず、透明度20%とも言える案件です。

 

<つづく>

 

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