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素人っぽく見えるデザインの原因はフォントを気にしないから

飲食店を営むお得意様から、「Youtubeやブログできれいなメニューの作り方を自分で調べてランチメニュー作ったのでデザインのアドバイスが欲しい」と連絡がありました。

PDFでデザインを送ってもらったのですが、ぱっと見には、色使いもドギツさや違和感もなく、レイアウトもしっかりグリッドに沿って余白も取ってあり、よくできていると思ったのも束の間、気になるところが目につき出しました。



最も気になったのが、メニュー名の文字がすべて、縦横の比率が変わってしまい、長体(縦長)がかかっていること。



メニュー名の字数が多いので1行に収まりきらないため、仕方がないだろうと考えがちですが、これはNG。



フォントとは、フォントデザイナーというデザインのプロ中のプロの職人デザイナーが何年もの歳月をかけて、読みやすさと最も美しいプロポーションを考えて作っているので、このプロポーションを崩しては本末転倒なのです。

一気に素人っぽくなります。



文字数が多ければ、2行にしたり、文字のサイズに大小つけるなど工夫して、きちんと文字を組まなければいけません。

それでも、ごく稀に、決められた範囲内に文字を収めなければならない時は仕方なく長体をかけますが、それ以外はフォントが最も美しい状態の「正体」で文字組をしましょう。



次に気になったのが、イラストの縦横比がおかしいこと。



イラストの縦横比を変えたくなる原因は、余白があると不安になってしまい、隙間を埋めたくなるからです。



その解決策として、イラストを縦か横に引き伸ばすのが一番手っ取り早いのですが、それが罠。

一気に素人っぽくなるので写真やイラストは縦横比を変えるのは絶対にやめましょう。



また、文字を角丸四角で囲みますが、その際、角丸の比率変更もやってはいけません。



これはワードなどで作られる役所のチラシでよく見かけます。



何度も拡大縮小しているとうっかり歪んでしまうことがあるので、気をつけなければいけません。

角丸四角囲み

いくら余白、整列などのレイアウトがきちんとされていて、色味に違和感がなくても、縦横比率がおかしい、即ち、縦横の比率が変わってしまうと、一気に素人っぽいデザインに見えてしまいます。



今回、ご相談いただいたお得意様には、フォントの長体、写真やイラストの縦横比、角丸の縦横比について指摘しましたが、細かなところなので、最終的に修正されているかは分かりません。



ただ、このような細かな箇所をすべて整えることで全体が見違えるように引き締まって見えてくるのです。



こういう詰めが、本当は大事なのです。

 

 

 

 

 

 

新しいデザイン環境で仕事していますか?

「新しいデザイン環境」とは何のことだろうかと思った方もいるでしょう。

それは、Adobeのことです。

「Adobeクリエイティブクラウドで、最新のものを使っていますが、それが何か?」と言われそうですが、まあ、少しお付き合いください。

HAT TOOL DESIGNでは、今でこそ、Adobeのクリエイティブクラウドの最新のバージョンを使っていますが、何年か前まではCS6という古いバージョンをしつこく使い続けていました。

それは使い慣れたアプリケーションを使うメリットを感じていたからで、何十万円もかけて買った最新版をさらに毎月支払い続けなければならないことや、印刷業界が古いバージョンも受け付けていることが多かったからです。

そんなこともあり、以前はホームページのデザインといえども、ほとんどIllustratorをメインに使っていました。

しかし、ここ最近は、特にXd、PhotoShop、Acrobatの進歩というか、痒いところに手が届く感覚に、驚いています。

Xdは、ホームページのデザインを作る際に使っているのですが、レスポンシブ(PCとスマホ)で見た時のデザインのサイズ変更がしやすく、各ページをお客様に確認してもらう時に、デザイン作成中のアートボードが常にクラウド環境にも存在することになるので、そのURLをお客様に送るだけで確認してもらえます。

Xdのアートボード

今まで、ページごとに1枚ずつJPG画像やPDFにしてお送りして、「おおよそこんな感じ」と、確認してもらっていたのですが、それほど手間をかけることもなく、完成したホームページと同じようにお客様にもブラウザ上で確認してもらえます。

そして、PhotoShopに至っては、今や選択ツールでざっくりと囲んだだけで、PhotoShop自体が被写体か背景かを判断できるので、圧倒的に素早く切り抜くことができます。これには、本当に感動しました。もちろん、細かな背景は無理だと思いますが。

かつては、背景を切り抜くのにマウスで囲んでdeleteを繰り返して、時間をかけていたのが嘘のようです。

またAcrobatは、契約書など署名がしてもらえる機能がついていることも便利になりました。

数多くのフォントが使え、使い勝手のよさを挙げるとキリがありません。

アップデートもよく行われており、常に最新版が使えるので、買い切りのパッケージにはない利点だと思います。

ここまで書くとまるでAdobeの広告塔のようですが、私がここで褒めていることはAdobeサイドは知らないので1円も入ってくるわけでもなく、まったく優遇もされません、念の為。

それはさておき、少し話は変わりますが、Adobeはサブスクリプション制に転換してから業績は絶好調で目立ったライバルもなく、まだまだ成長すると期待されています。

よって、これからもっと便利に革新的に変化していくと予想します。

これからを見据えて世界の最新技術には、積極的に接しておきましょう。

自分が動くことは時間を売っていること

先日、関東に20店舗ほど展開しているマッサージ店からパンフレット作成の問い合わせがあり、見積もりを送った後、電話で話しました。

「実店舗を見てもらってから、パンフレットを作るための話がしたいので、店舗まで来て欲しい」というものでした。

店舗の場所は、HAT TOOL DESIGNの事務所から電車で片道1時間30分掛かり、交通費は1000円ほど。

つまり、移動と打ち合わせ時間を合わせて、おおよそ4〜5時間は取られ、交通費も往復で2000円が掛かります。

ちなみに、HAT TOOL DESIGNでは、打ち合わせは無料ですが、「相見積もり」と「業者選定段階」は「ご遠慮ください」と「お問い合わせページ」に表記しています。

ということもあり、「遠方ですが、ご依頼前提ということであれば、お伺いしたいと思いますが、他社もご検討されているのでしょうか?」と質問しました。

「御社以外にも複数社を検討しています」と回答がありました。

困りました。

4〜5時間あれば、ちょっとしたチラシの片面ぐらいならデザインが作成できそうです。

私が「遠方で往復3時間ほど掛かるので、打ち合わせは…」と尻込みをすると、「関東一円に20店舗ほど持っているので、関東のデザイン会社に声を掛けています。いずれの会社にも、複数の業者と見積もりを検討していると正直にお話させていただきました」とのこと。

正直に話していただいたのは助かります。

失敗したくないので複数のデザイン会社から自分たちに合ったところを選びたいのだと思います。すごくお気持ちもわかります。

しかし、往復の移動に時間が取られ、交通費もこちら持ち。

その上、最終的に自分が依頼されるかどうか分からないのに、店舗を見ながらパンフレットを作るための話をしたいとのこと。

その段階であれば、制作に入るための具体的に掘り下げた話はできないだろうし、店舗を見ながら何を話すのでしょうか。面接なのでしょうか。よく分かりません。

これはリスクが多いと心の中で思いつつも、「一旦、考えさせてください」とやんわり電話を切り、メールでお断りの返事をお送りしました。

デザイナーを含めクリエーターは依頼を受けた時、自分の時間を使って作成しているのです。

即ち、自分の時間を売っているということ。

私の場合は、現在進行形の案件も同時に抱えています。

同じ時間を使うのであれば、現在進行中のお客様のために使った方が喜んでいただけるし、私自身も嬉しくなります。

一方、仕事を得る「チャンス」という見方もできるので、営業目的として、敢えて、先方に伺って打ち合わせをするという方もいらっしゃるかもしれません。

それも当然、「あり」だと私は思います。

見る側面によって、時間が無駄なのか、有効なのかどうかは人によって違ってくると思いますが、ただ、自分が動くことは「自分の時間を売っている」ということを、しっかりと認識することが、大事なのです。

 

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