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デザインの制作途中を見せる?見せない? 〜その127(2)〜
なぜ制作途中を見せることが嫌なのでしょうか?
制作途中のデザインを見せることに関して、私は気が進みません。
それはなぜなのか、考えてみました。
例えば、カレーライスを作るとします。
ジャガイモ、玉ネギ、ニンジン、肉を切って、炒めます。ある程度炒めたら、水を加え煮込みます。
水を加えた段階では、まだルーが入っていないので、野菜の汁で濁っているし、油も浮いています。
どう見ても、カレーには見えないし、このままではとてもまずそうで、見栄えも悪いものです。
つまり、デザインの制作途中を見せるということは、これと同じことなのではないかと思っています。
この段階で、「これは全然カレーではない!まずそう!」と思われたり、言われても困ります。
デザイナー側の意見としては、「この後に、カレーのルーを入れて、リンゴとハチミツの隠し味を入れて仕上げるのです」と説明しても言葉ではイメージは伝わりにくいと思います。
私の過去の経験からいっても、この段階では修正を言われがちなのです。
デザイナー自身は、霧の中でぼんやりとしていても完成のイメージに向かって、デザインを作成しているため、途中段階で修正を言われてしまうと、混乱してしまいます。
こういった理由もあり、HAT TOOL DESIGNでは制作途中をクライアントさんに見せることはお断りさせていただいているのです。
<その127 つづく>
デザインの制作途中を見せる?見せない? 〜その127(1)〜
制作途中のデザインを見せたくないのですが。
先日、チラシのデザインラフ案を制作中に、クライアントさんから「経営コンサルタントの先生にデザインの制作途中のチラシをお見せしたい」と連絡がありました。
このような場合、皆さんがデザイナーならお見せしますか?
ちなみにHAT TOOL DESIGNの場合、下記のような手順でデザインを制作しています。
(1)デザイン構成案(仮デザイン)提出
(2)デザイン制作
(2)デザインラフ案提出
(4)修正
(5)デザイン完成
クライアントさんから声が掛かったのは、制作途中である「(2)デザイン制作」の段階でした。
クライアントさんが経営コンサルタントに見せたいという気持ちも分かります。
制作途中であれば、デザインの気になる箇所を早めに指摘できるので修正しながら完成できると思ったのでしょう。
しかし、私の場合、クライアントさんにデザインの制作途中を見せることはあまり気が進みません。
気が進まないので、デザインを作る前に「(1)構成案」の段階で掲載内容をまとめた仮デザインを作り、それをクライアントさんと経営コンサルタントにお見せして、両者の意見をもらい修正を重ねて内容を固めています。
構成案(仮デザイン)とは、例えば下記のようなものです。
<その127 つづく>
木を見て、森も見るのがデザイナー 〜その126(2)〜
全体の中で目立たせる箇所を絞っていくにはどうすればよいでしょうか?
お客さまから「とにかく目立たせて欲しい」と事細かにデザインのアイデアを提案された時の対応の仕方を前回にひき続き、考えていきましょう。
デザインはそもそも法則に基づいて制作しています。
同系色でまとめたり、 見出しを同じ大きさにしたり、 書体を揃えたり、その手法はさまざまです。
デザイナーとしては、 お客さまからあれやこれやと提案された内容に違和感を覚えた時は、なぜ、Aさんがこのようなことを言うのか考えてみましょう。
おそらく、その部分を目立たせたいということに囚われていて、「全体の中でどう見えるか?」 ということに気づいていないのではないかと思いました。
チラシの場合、パッと見て自分に得になる情報かどうかを判断し、必要なければ捨ててしまうものです。
チラシで一番重要なのは、手に取ったときに 「読みたい」と思ってもらうことです。
Aさんの提案通りにデザインしてしまうと、あらゆる箇所の主張が激しくなり、本当に読んでもらいたい箇所が目立たなくなってしまいます。
それでは本末転倒です。
このような事態は、デザイナーであれば、容易に想像がつくかと思いますが、一般の方はそうではなく、現在の仕上がりにさらに要素を盛り込む足し算のデザインになってしまうのです。
いい塩梅でデザインを留めておいたり、そこからさらに不要なものをそぎ落とす引き算のデザインを想像できる人はそう多くありません。
盛り込みすぎの方向へ進むのを防ぐのもデザイナーの役割なのです。
その場合、説明してもなかなか納得していただけないことが多いので、ハットツールでは、お客さま提案のデザインとこちらがお勧めするデザインの2パターンを実際に作ってお見せするようにしています。
こうした方が結果として早く納得していただけることが多いようです。
ここまで読んで、結局、手間がかかるなぁとがっかりされたデザイナーもいらっしゃるかもしれません。
しかし、これらの積み重ねがやがて信用へとつながり、 次の仕事を生み出すのだと思います。