作る前に読んで欲しいデザイン術最新記事

手書きをデザインに取り入れる 〜その121(1)〜

 

手書き文字を作成するのは難しいのでしょうか?

 
よくフォトショップやイラストレーターに組み込まれているブラシで、ペンや筆素材のものはありますが、今回は自分で作成する方法を紹介します。
 
 
 
自分で作ると若干手間はかかりますが、アプリケーションに組み込まれているものとは味わいが格段に違います。
 
 
 
また、自分で書くため、同じように二度と書けません。
 
偶然、とんでもなくいいものができる奇跡も起こります。
 
これが実に面白いのです。
 
 
 
私がよくやっている手法は、
 
1.紙に書く
 
2.書いたものをスキャナーで取り込む
 
3.取り込んだものを、イラストレーターのライブトレース機能でパス化
 
 
 
この3つの工程でデザイン素材ができあがります。
 
これに色を付け、大きさを変え、レイアウトに組み込んでいきます。
 
 
 
用意するものは、
 
・紙=和紙や半紙
 
・書くもの=筆(+墨汁)、万年筆(+インク)、サインペンなど
 
 
 
「にじみ」と「かすれ」。これが味になります。
 
 
 
どの紙に書くかが重要となるので、薄めの半紙だとにじみすぎたり、同じ和紙でもにじみやかすれがうまく出ないこともあります。
 
 
 
紙は種類の違うものを数枚用意しておくのがよいでしょう。
 
 
 
和紙に万年筆を使って描いたイラスト。
手書き
 
アップにするとインクのにじみやたまり、線の太さが異なるのがいい味になっていると思います。
手書き
 <その121 つづく>

ただの箱に新たな価値を生み出すデザイン 〜その120(2)〜

「デザインの力」って何ですか?

デザインを施すことで、利用価値が変わる例を前回にひき続き、ご紹介します。 

 

ビジネスの勉強会で訪ねた薬局の話です。 

 

この店の地下室は、20平米ほどの広さがあり、壁は白くて温かい色の照明が施され、奥の壁には全面に青空のイラストが描かれたとても居心地がよい空間です。 

 

地下室では、ピラティス教室や美容教室を開講しています。

 

このイラストを描く前は、薄暗くて段ボールが並ぶ単なる在庫置場でした。 

殺風景な地下室にイラストが描かれることにより、居心地がよくなり、この場所が病気やケガの予防、コミュニケーションの場所として有効活用され始めたのです。 

 

この薬局の周辺は大手ドラッグチェーンが乱立していますが、地下室でこのような取り組みを始めたことで、大手ドラッグチェーンとは一線を画すここだけの強みになったそうです。 

 

前回、紹介した自販機の箱にしても、今回の地下室にしても、デザインを施すことによって、見る人の意識が変わり存在意義が生まれるのです。 

まさしく「デザインの力」といえるでしょう。 

 

これを目の当たりにした時、デザインはおもしろいとつくづく思います。 

ただの箱に新たな価値を生み出すデザイン 〜その120(1)〜

記憶に残るデザインとはどんなものなのでしょうか?

デザイナーのところには、さまざまなもののデザイン依頼がきます。

先日は、「防災用品備蓄庫」なるもののデザインを作成しました。 

自動販売機横のヒツジのイラストが描かれているBOXです。

新たな価値を生み出すデザイン

この備蓄庫は自動販売機の横にあり、 通常はゴミ箱として使われるのですが、 備蓄庫の中には簡易トイレが900個保管されています。 

 

災害が起こった際は、このトイレが配布され、横の自動販売機の飲み物も無料で配布されます。 

 

災害が起こった場合、電車やバスが止まり、おそらく帰宅困難な状況になると思われます。 

 

そんな時、このBOXのことを思い出し、備蓄庫内のものを活用して欲しいという願いと、 この場所に備えを求めて人が集まることでほんの少しでも不安が解消して欲しいという意味を込めて、群れることで安心するヒツジをモチーフにしたデザインになりました。 

 

1頭だけ顔が黒く色が白いヒツジは「自分」を意味しており、「自分ひとりじゃないよ、安心してね」 というメッセージが込められています。 

 

備蓄庫は、ヒツジのデザインがないと、ただの白い箱です。

新たな価値を生み出すデザイン

なんとも、殺風景で、記憶に残りづらいのではないでしょうか? 

 

自動販売機の横に設置され、災害時には中の備蓄品を取り出して使うのですが、デザインを施すことで記憶にも残り、より大きな意味付けができ、新たな価値を生み出したと思っています。 

<その120 つづく>

 

 

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