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「なぜ?」を繰り返すデザインの打ち合わせ 〜その111(3)〜
資料だけでデザインはできると思います。
デザインの打ち合わせでは、クライアントの商品などをしっかり理解するために、「なぜなぜ分析」を多用する例を前回、紹介しました。
依頼時に、資料だけをドンと渡されて「これでデザインしてください」と言われることがあります。
資料というのは、全部がまとまったものなので、これだけでは「なぜ?」と掘り下げにくいのです。
私の場合は、いただいた資料は打ち合わせの前にさらりと目を通す程度にしています。
さらに言えば、打ち合わせはクライアントと作り手(デザイナー)が直接対面することで資料には書かれていない、 人柄や熱量を感じる取ることができます。
人と人が会うことで生まれるそういった直感もデザインのイメージを構成する上で影響するので、実際にデザイナーが打ち合わせに出席することが大事だと思います。
「なぜ?」を繰り返すデザインの打ち合わせ 〜その111(2)〜
質問ばかりすると、何も知らないと思われませんか?
依頼主の商品のよい部分を最初からすべて知っているわけではないのに、どのようにしてその商品の本質を見極めるのか、その手法を前回に続いて紹介します。
本質を知るために大切なのが、「打ち合わせ」です。
漠然と打ち合わせをするのではなく、 「なぜ?」と質問を繰り返しているうちに、本質が現れてきます。
一般的に、「なぜなぜ分析」と呼ばれる分析があり、「なぜ」を5回繰り返して、問題の原因の本質を浮き彫りにする方法のことです。
私の場合は、問題の本質を浮き彫りにするというよりも、しっかり商品を理解するためにこの手法を使っています。
以前、ある大学の研究室から一般の方に研究を紹介するためのリーフレットを作成する依頼がありました。
打ち合わせの前に研究概要の資料を渡されたのですが、言葉が難し過ぎて、まったく頭に入ってきません。
そこで、打ち合わせの際に教授にまず下記の4点を質問しようと考えました。
・どんな研究なのか?
・何のために研究をしているのか?
・何の役に立つのか?
・何のために一般の人に紹介するのか?
いずれも、基本的なことばかりです。
それぞれ答えていただきながらも、私が理解できるまで「なぜ?」を繰り返していきました。
その問答は、事前に渡されていた資料よりも大変わかりやすく、 研究に対する情熱も伝わり、日本の未来を左右するような大切な研究だと私にも理解できました。
また、教授ご自身にとっても、基本的なことを改めて考えるいい機会になったとおっしゃっていただき、双方にとっていい打ち合わせになりました。
完成したリーフレットが下記です。
「なぜ?」を繰り返す中で、「いつまでも健康に過ごせるための研究」というわかりやすい言葉が出てきました。
研究がどのように人々に役立てられているのかもわかりやすく図解にしました。
<その111 つづく>
「なぜ?」を繰り返すデザインの打ち合わせ 〜その111(1)〜
デザイナーが依頼主の職種の内容を知っているわけではないのですが。
デザイナーは、職業柄、 さまざまな職種の販促物を作らなければなりません。
そこで大事なことが、 「そのものをよく知る」ことです。
なぜなら、商品の良い部分を引き出して宣伝しなければならないからです。
つまり、商品の本質を知らなければなりません。
当然、宣伝する商品のことを最もよく知っているのはクライアントです。
とはいえ、クライアントは、デザインが作れるわけでもなく、宣伝の知識があるわけでもないので、プロのデザイナーに依頼するわけです。
すなわち、デザイナーはクライアントの代わりに販促物を作ることになります。 デザイナーは依頼されたクライアントと同程度にそのものを知っておく必要があります。