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シンプルなデザインは上級者向け?
「デザインはシンプルが一番美しい」という方は多いと思います。私もそう思っています。
かつて、真っ白な背景に写真1枚と黒文字の1行の文章が余白を活かしてレイアウトされたシンプルなデザインを見て、「きれいだな〜」と思い、何度か真似をしたことがありました。
しかし、実際はなかなか同じようには上手くいきません。
スカスカで物足りなく見えたり、手抜きに見えたり、なんだか、まとまらずに弱々しい感じ。
皆さんも同じような経験はありませんか?
思い切って白背景を諦めて、背景をベージュに変更したり、テクスチャーを背景にすると、「急にデザイン全体がまとまった!」などということは、私はよくあります。
背景に色を着け、文字を囲み、文字に色を着け、装飾を加えていくと、ますますデザインがまとまりました。
そうこうしているうちに、どんどんシンプル路線ではなくなっていきます。
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シンプルなデザインは条件が揃っている
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先日、ホームページのテンプレートを自分なりにアレンジしていました。
見本は、北欧家具屋をイメージしたテンプレートでとてもシンプルでおしゃれ。
使われている写真は北欧家具や北欧の自然の風景。数年前に行ったフィンランドを思い出し、うっとりするほど。
トップページには、その写真の上にキャッチコピーが2行、すっと入っています。
そのテンプレートと同じレイアウトで、写真を入れ替えて、キャッチコピーの文章を3行にすると、まったくおしゃれではなく、中途半端なデザインになってしまいました。
この作業でよくわかったことは、シンプルなデザインというものは、デザインに合う写真であったり、文字数や行数が合うなどの「条件」が揃わなければ、なかなか難しいと思いました。
余白を活かすようなシンプルなデザインは上級者向けと言われていますが、デザインのテクニックだけでなく、条件が揃ったからこそできるものなのだと思いました。
キーカラーの選び方の決め手
先日、メルマガの読者のTさんから「デザインを作る際、例えばチラシで「この色にしよう!」という自分の中でGOサインを出すポイントを伺えたらうれしいです」という「キーカラー選びの決め手」について質問をいただきました。
まずは、手っ取り早くお客様の希望の色を聞きます。
希望があればその色で進めますが、ない場合はどうするか。
まず、デザインを作成するときに大体の方はレイアウトをしながら、見出しや飾り枠などに着色していくことが多いかと思います。
その際に、初めから「この色!」という確信的な考えはなく、「とりあえずこの色で進めてみよう」とゆるやかに進めています。
ある若い男性議員のチラシを作っていたときのこと。
いただいた写真では、ピンクのネクタイをしていたのでやさしそうに見えるやわらかな同系色のピンクを見出しや飾り枠などに着色し、キーカラーにしました。
半分ぐらいレイアウトができて全体を見てみると、思ったよりも女性っぽくなってしまい、まるで、女性議員のチラシのよう。
想像していたイメージとは違ったので、初夏に配布されることを考慮して爽やかな水色に変更したのでした。
このように、初めに思った色とは違う色に変更することも、よくあること。
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カラーを選ぶヒントは必ずある
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どのような色をキーカラーにすればいいのか迷ってしまったとき、私の場合はお客様やその業種、商品のイメージと「色が持つイメージ」をつなぎ合わせます。
例えば、
・高級感、エレガンス、ゴージャス、エグゼクティブ
・ポップ、カジュアル、アクティブ、若さ
・商品のイメージカラー
・クライアントのイメージカラー(コーポレートカラー)
・クライアントの業界をイメージする色
・ターゲットの性別
・商品、サービスの名前
以上のようなことから、色を連想して絞り込んでいます。
そのほかに、先述した
・写真やイラストの色
・店の内装の色
に合わせてキーカラーにすることもあります。
キーカラーに選ぶ理由は、意外と単純で簡単。
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選んだ理由を話せるように
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意外に重要な点は、お客様に「なぜこの色なのか」を質問されたときに、しっかり理由を説明できること。
選んだ理由は単純ですが、思いつきではなく、理由を言葉にして話すことで大抵のお客様は納得されます。
お客様に納得していただくには、制作しながら、自分自身もこの色がキーカラーだと納得し、徐々に確信に変わっていく必要があります。
ただ、選んだ理由を説明したからとはいえ、その理由が「社会通念」から外れていると納得はしてもらい難いでしょう。
「社会通念」とは、大多数の人が暗黙の了解で「当たり前」と思っていること。
例えば、「温かみのある色」と聞けば、大多数がオレンジや赤、茶をイメージし、青や白とイメージしてしまう人は少数派になるでしょう。
まずは、キーカラー選びに悩まないためにも、色そのものが持つイメージを把握することが基本です。
色のイメージを参考にしてください。
宣伝媒体の移り変わりを実感
先日、学習塾経営者のお客様と打ち合わせをした時のこと。
学習スタイルをインターネットを使ったタブレット学習に切り替えても、問題なく授業を行えることがわかったことをきっかけに、今後もますますデジタル化が加速することを実感したので、新聞折り込みチラシを止めるという話になりました。
これまで6年間、季節ごとにチラシを制作し、生徒を集客してきたので、チラシを止めることは私にとっては寂しい限りですが、今や小中学生の子どもを持つ親御さんの多くは30~40代で、ほとんどの家庭では新聞を購読していないという現状もあるのです。
最近、新聞折り込みチラシからの反応が下がってきたように感じていたので、自分たちがインターネットのタブレット授業にうまく切り替えられたことを機に、今までのチラシへの宣伝費をインターネットでの宣伝費に充てたいということでした。
HAT TOOL DESIGN自体が、長年、インターネットで集客してきたので、そちらも専門中の専門。
引き続き、ホームページを中心に、ブログ、SNS、動画、LINEなどを駆使し、塾の強みを活かして、宣伝することをご相談いただきました。
とはいえ、少し前まで4万枚ものチラシを新聞に折り込んでいただけに、時代の移り変わりを感じずにはいられません。
今後、3年後、5年後、10年後と年月が経つにつれ、新聞購読者はさらに減っていき、年配者しか読まない媒体になっていくのだろうと思いました。
それはそれで、ニーズが分かりやすく、ターゲットが絞り込めるので、新聞折り込みチラシにとっての利点もあります。
今後ますます、インターネットがメインの宣伝媒体になってくるでしょう。ホームページへの問い合わせが増え、今、まさに移り変わっている最中なのだと思います。