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お客さんの声をキャッチコピーに 〜その90(1)〜
自社製品の宣伝文句が思い浮かびません。
実は、私の母はテレビに出演したことがあります。発明協会に入っており、キッチン用の椅子を発明したことが取り上げられたのです。
製品化はまだされておらず、現在、特許出願中で、しかも開発会社募集中なのですが、面白い発明だと発明協会の推薦をうけ、ニュース番組のワンコーナー(3分程度)に出演しました。
キッチンのシンクに引っ掛け、腰掛ける、その名も「引っ掛け椅子」です。
台所で調理や洗い物をする際に、足腰の疲れを軽減する椅子で、足腰や膝が悪いシニアの方の台所作業や、工場のレーン作業などに向いています。
しかし、テレビでは、椅子に「またいでガニ股で座る」というポーズの面白さばかりに重点が置かれ、母や私としては、なんとも腑に落ちませんでした。
ただ、たかが3分のコーナーで、この椅子を視聴者の印象に残るように紹介するとなると、普通の紹介では、サラリと流されて、記憶に止めてもらうのは難しいのかなとも思いました。
「ガニ股=面白いポーズ」で座るという切り口があるからこそ、印象に残るのではないかと考えるようになりました。
この椅子の資料の宣伝文句に、「ガニ股」をキーワードにすることなど、気づきもしませんでした。
全く違う第三者の視点として、この「切り口」はとても斬新だったので、今後、椅子の宣伝に取り入れる方向で考えています。
商品名も、「ガニ股引っ掛け椅子」になるかもしれません。
<その90 つづく>
デザイン作成意図を伝えて、無駄な修正回避 〜その89〜
デザインの修正回数を減らすにはどうすればよいのでしょうか。
今回は、特にデザイナーさん向けに特化した内容でお届けします。
デザイナーが作成したデザインの意図や思いは黙っていては絶対に伝わりません。
デザインのコンセプトをしっかり伝えることで、デザイナーとデザインを見るお客さんが考えを共有し、その後、修正を繰り返すことによって、デザインが研ぎ澄まされていきます。
作成意図を伝える理由は他にもあります。
デザイン作成におけるイニシアチブ(主導権)を取ることができるからです。
これはデザイナーとして、とても大事なことです。
例えば、チラシデザインの場合、お客さんのご要望を踏まえながら、デザイナーが下記のようなことを考えてデザインをしていたとします。
・どんなターゲットに向けたものか?
・見た人にどのような行動をしてほしいか?
・競合店とどのように違うか?
・売りはなにか?
・文字は読みやすいか?
・パッと目にとまるようなキャッチコピーか?
・季節感はあるか?
・目線を考えたレイアウトか?
・問い合わせ部分は目立っているか?
・初めての方でも安心できるか?
・折り目に文字がかかっても読めるか?
・写真は暗くないか?
など、デザイナーは「デザインの専門家」として、上記のようなさまざまな分析をしてデザインを練り上げるので、その分析の詳細も伝えるべきだと思います。
分析の詳細を伝えることで、実に奥深く考えていることがお客さんに伝わります。
専門家という認識を持ってもらった方が、お客さんにとっても心強いはずです。
「デザイナー=専門家である」という認識も持ってもらえば、デザイナーがイニシアチブを取れます。
そうなるとことで、思いつきのような無駄な修正依頼はぐんと減ります。
デザイナーという職業は、「辛い」「しんどい」と言われることもあります。
イニシアチブを取れなければ、さらに辛く、しんどくなります。
まずは、デザインのプレゼン時に作成意図をしっかり伝えてください。
手渡す相手によって名刺のデザインを変える 〜その88(2)〜
場面ごとに、何が名刺の重要な要素になるのでしょうか?
シチュエーションによって名刺を使い分ける話の続きです。
「ビジネス用」と「営業用」の名刺の違いを紹介します。
ビジネス用の名刺は、名刺交換する相手が初対面とはいえ、ある程度、相手を認知していますので、連絡先など必要な情報がしっかり明記してあることが重要です。
一般的には、
・名前
・社名(ロゴなど)
・住所
・メールアドレス
・電話(携帯・オフィス)
・ホームページ
などが必要です。
一方、セミナー会場などで、大勢と名刺交換する場合、 ビジネス用の名刺だと、後で見返した時に、誰の名刺なのか、印象に残らないことがあります。
不特定多数と名刺交換をする場合は、少しでも自社のホームページを見てもらったり、facebookに「いいね!」をつけてもらうなど、自社や自店を「知ってもらうこと」に重きを置いた内容にしましょう。
例えば、
・会社の紹介
・オススメ商品
・顔写真
・自社・自店のホームページのQRコード
・facebookやLineなどSNSへ促すコピー
・メルマガ登録を促すコピー
名刺を通じて、自社・自店の見込客になり、 顧客になってもらうなど、ランクアップを目指す戦略です。
営業用の名刺は、「チラシ」の要素をイメージしてください。
ただ、注意点として、携帯電話の番号や個人のメールアドレスなど個人情報は、迷惑な営業が増える可能性があるので掲載は控えましょう。
前回も書きましたが、私は名刺のデザインを頼まれた際、「どのようなシチュエーションで名刺交換するのか? 」をお客様にお聞きします。
名刺はデザインを優先で考えてしまうと、場違いになったり、役に立たない名刺になりかねません。
「どのような方と交換するか?」「どのようなシチュエーションで交換するか?」を考えてから名刺をデザインすると、名刺の効果が上がります。