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「あ、いいな!」と思わせると、価格は関係なくなる? ~その60(2)~
どのお客さんにも商品の説明をしなければ購入につながらないと思っています。
素材もデザインもいいとはいえ、正直、少し高めのスカーフやバッグを売る親友の販売トークのつづきです。
まず、スカーフは130cmの大きめサイズ。 テカりが出るような糸を織り込み、コットン100%で家でも洗濯できるものです。巻き方もいろいろ楽しめます。
バッグは丈夫な帆布生地の中でも最も厚い素材で、デニムの産地として知られる岡山県でデニムと同じ縫製をほどこしています。
北欧のデザインにインスピレーションを受けたものもあります。
こうした商品の話を親友に聞くと、急に商品が輝いて見えて、今度はこのクオリティーにしてこの価格はお値打ちだと、私も心を動かされて買ってしまいました。
この気持ちの変わりようはすごいものです。
しかし、その都度、自分自身でお客さんに商品の説明をしなければ販売につながらないのは、効率が悪すぎます。
説明をしなくても、販売することはできないものかと考えてみました。
ちなみに売り場はこんな感じです。
ハンカチやスカーフは、広げなければデザイン全体が見えず、またデザインの意味が分からなければ
この価格では買いづらいのだと思います。
また、デザイナー紹介のパネルもあるのですが文字が小さくて、サラっと読みやすいものでもありません。
これでは、デザイナーが何者かわかりません。無名のデザイナーの商品をどれほどの人が買うのでしょうか。
これではデザインの価値を知ってもらえず、スルーされ続けてしまうのでしょう。
そして、親友が売り場に立ってデザインや素材の説明をすると、ようやく、お客さんに商品の価値が伝わり、購入につながったのだと思います。
<その60 つづく>
「あ、いいな!」と思わせると、価格は関係なくなる? ~その60(1)~
販売の決め手とはいったいなんなのでしょうか?
学生時代からの親友のグラフィックデザイナーは、仲間と自身でデザインしたグッズのブランドを立ち上げ、 時々、有名百貨店で期間限定のショップを出店しています。
グッズは、スカーフやバッグ、ハンカチなど、いずれも素材にこだわり、デザインも洗練されたものです。
横浜の限定ショップを訪ねてみると、ちょうど、親友が売り場でお客さんに商品を説明しているところに出くわしました。
そのお客さんは9,500円の手提げバッグを3枚も買っていきました。
親友に聞いてみると、割引など特別なことはせず、商品の説明をお客さんにしているだけとのこと。
限定ショップを出した最初の1週間は全く売れなかったようで、その後、ようやく売れるようになったそうです。
ちなみに、親友はセールストークがとても上手いというわけでもなく、どちらかというと下手な方です。
また、手提げバッグ以外の商品は、ハンカチ3,500円、スカーフ12,000円、肩掛けバッグ15,000円など、素材もデザインもいいとはいえ、正直、ちょっと高めです。
では、なにがお客さんの心を捉えたのでしょうか?
<その60 つづく>
「修正が終わらない!」 泥沼化しない提案のコツ ~その59(5)~
もはや泥沼に突入してしまったようです。どうしましょう?
「修正の泥沼化」を防ぐために、修正の回数をフェーズ1から4に分けて紹介しています。
今回はいよいよ最終段階の「フェーズ4」です。
■フェーズ4:自我を捨ててロボットになる
初稿を2案以上だし、それを3回以上修正しているのに(フェーズ1)、まだデザインが変わるような修正指示が来てしまい、さらなる修正案を3案提出しても(フェーズ2)、まだ、デザインが決まらない場合、対面で再度打ち合わせをします(フェーズ3)。
それでもまだ決まらない場合、どうすればよいのでしょう。
泥沼化しないためのコツといいつつ、 もうここまでくると、もう泥沼に入りこんでおり、精神的にも参ってきます。
心の持ち方の問題ですが、この案件に関しては、「自我を捨ててロボットになる」ことで、その分、他の案件に神経を注ぐことが良いでしょう。
実はHAT TOOL DESIGNもここまでデザインが決まらなかったことが過去に1度ありました。
眼科の開業医のお客さまで、ロゴのご依頼でした。
ご自身が考えた手書きのデザイン案を元にデザインした案と私が考えた3案の計4案を提案しました。
最初の提案で、どの案も大絶賛していただき、どのデザインにするか周囲の意見を聞いてから決めたいとのことで、お返事を待ちました。
結局デザインはご自身がデザインを提案された、目をモチーフにしたデザインに決まりました。
ベース色は黒でしたが、瞳だけを青くしたいという修正指示があり、それを反映して提出しました。
その後、知人が沖縄の海に行き、とても綺麗だったので全体をマリンブルーにして欲しいという修正指示が入ります。
この修正指示はあまりよくないデザインだとアドバイスしましたが、聞き入れてもらえませんでした。
次は、ショッキングピンクが目に留まりやすいので、修正して欲しいという指示です。
もうこの時点で、私は自我を捨ててロボットになることにしました。良いか悪いもわかりませんし、アドバイスもしません。
そして、各色バリエーション案を複数提出した中で、レインボー案が大変気に入ったとのことで無事納品することができました。
そのロゴはまるでピンクフロイドの「マグネット」というジャケットのようなのです。
ご本人が良いというのであれば良いのでしょう。
そして4年後、たまたま医院の近所を通りがかると、違うロゴの看板がかかっていました。
「やっぱり。」
お金と時間をかけて作成したものだったのに、なんともったいないことでしょう。
ちょっと寂しい気持ちになりました。
5回にわたって、修正指示とその対処を段階的にまとめましたがいかがだったでしょうか?
「フェーズ1」で紹介したように、初稿の提案でほとんどが決まります。
ここで、きちんと決めることにより後の修正が少なくなるのです。
つまりは相手の信頼度も高くなるからです。
ぜひ、「フェーズ1」で決めてくださいね。