デザインの打ち合わせで「なぜ?」を繰り返す理由。本質を形にするプロの視点
【記事の結論】
良いデザインを作るためには、デザイナーがクライアントと同程度に商品の「本質」を理解する必要があります。そのために欠かせないのが、打ち合わせでの「なぜなぜ分析」です。質問を繰り返すことで、資料だけでは見えてこない商品の魅力や作り手の情熱を言語化し、読者に響く販促物へと落とし込んでいきます。
こんにちは、販促物女性デザイナーの松田です。
私はデザイナー歴30年以上、累計実績2100件以上の販促物制作に携わってきました。これまで多種多様な業種の方々とお仕事をさせていただきましたが、デザインを始める前に何よりも大切にしているのが「お客様の商品を誰よりも深く知ること」です。
「メニューが古くなってきて、新しさが伝わらない」「チラシを作りたいけれど、何を一番に伝えればいいか分からない」……そんなお悩みをお持ちではありませんか?実は、その答えは打ち合わせの中での「なぜ?」という問いかけに隠されています。
デザイナーは「その道の素人」だからこそ質問する

デザイナーは職業柄、あらゆる職種の販促物を作ります。しかし、最初からその業界の専門知識を持っているわけではありません。宣伝する商品のことを最もよく知っているのは、間違いなくクライアントであるあなたです。
それでも、デザイナーがあなたと同じレベルで商品について知っておかなければならない理由があります。それは、「商品の本当の良さを引き出して、ターゲットに届く言葉に翻訳する」のがデザイナーの役割だからです。
クライアントはデザインや宣伝のプロではありません。だからこそ、私たちデザイナーがあなたの「代弁者」として、商品の本質を深く理解する必要があるのです。
本質を浮き彫りにする「なぜなぜ分析」
では、どうやって短時間の打ち合わせで商品の本質を見極めるのか。私が実践しているのが「なぜなぜ分析」です。
一般的に「なぜなぜ分析」とは、問題の原因を突き止めるために「なぜ?」を5回繰り返す手法ですが、私の場合は「商品の理解を深めるため」に活用しています。一見、基本的なことばかり聞いているように思われるかもしれませんが、これが非常に重要なのです。
大学の研究を一般向けに図解した事例
以前、ある大学の研究室から、一般の方に向けた研究紹介リーフレットの制作依頼をいただきました。事前に届いた資料は専門用語が並び、正直に申し上げて非常に難解でした。
そこで打ち合わせの際、私は教授に次のようなシンプルな質問を投げかけました。
- どんな研究なのか?
- 何のために研究をしているのか?
- 社会の何の役に立つのか?
- なぜ、今これを一般の人に知ってほしいのか?
私が完全に理解できるまで、失礼を承知で「つまり、どういうことですか?」「それはなぜ必要なんですか?」と何度も質問を重ねました。すると、資料の文字面からは見えてこなかった「日本の未来を左右するほどの大切な研究であること」や、教授の「研究に対する熱い情熱」がひしひしと伝わってきたのです。
教授からも「基本を改めて見直す良い機会になった」と喜んでいただけ、最終的には「いつまでも健康に過ごせるための研究」という、誰にでも伝わる温かい言葉をメインに据えたデザインが完成しました。

資料だけでは「熱量」はデザインできない
時折、「資料はこれです。あとはお任せで作成してください」と、データだけをいただくことがあります。もちろん、形にすることは可能です。
情報の裏側にある「なぜこのサービスを始めたのか」「どんな想いでお客様に接しているのか」という作り手の人柄や温度感は、直接お話しすることでより深く汲み取ることができます。デザイナーが直接打ち合わせに同席し、対話を通じて感じる「直感」こそが、デザインの隠し味になります。
【デザイナーの裏話】加工一つで変わる印象
余談ですが、打ち合わせで「なぜ?」を深掘りした結果、あえて安価なチラシではなく、少しコストをかけて表面加工(PP加工やマット加工など)を施したリーフレットを提案することがあります。
例えば、「高級感を伝えたい」という目的が本質であれば、手触りの良いマットPP(つまり、表面にツヤ消しの薄いフィルムを貼る加工)を施すだけで、お客様が受け取る価値がガラリと変わり、結果として成約率や客単価アップにつながった事例も少なくありません。
情報の整理と、そこに込める想い。この両輪が揃って初めて、本当に「差がつくデザイン」が生まれます。
まとめ:打ち合わせは「想い」を言葉にする時間
| 打ち合わせのステップ | 得られる効果 |
|---|---|
| 1. 「なぜ?」の問いかけ | 商品の本質的な価値が明確になる |
| 2. 専門用語の言い換え | ターゲットに伝わる平易な言葉に変換される |
| 3. 直接対話による直感 | 資料にはない「熱量」をデザインに反映できる |
デザイナーが質問攻めにするのは、何も知らないからではなく、あなたの素晴らしい商品を「どうすれば一番輝かせられるか」を真剣に考えているからです。もし販促物制作で迷われているなら、ぜひあなたの「想い」を私たちに聞かせてくださいね。
無料メルマガ『差がつくデザインの技』
毎週1回、デザイナー向けの有益な情報や、販促に役立つデザインのコツをお届けしています。読者数600名を突破した、実戦で使えるノウハウが詰まった無料メルマガです。
