「どこまでがデザイナーの仕事?」作業範囲のズレを防いで質の高い制作物を作る方法
【記事の結論】
デザイナーの作業範囲は案件によって大きく異なります。特に間にディレクターやコンサルタントが入る場合、「誰が内容を決め、誰が文章を整えるのか」を事前に明確にすることが不可欠です。範囲が曖昧だと、制作進行が滞るだけでなく、最終的なデザインの質にも悪影響を及ぼします。
こんにちは、販促物女性デザイナーの松田です。
私はデザイナー歴30年以上、累計実績2100件以上の現場を経験してきました。長年この仕事をしていると、デザインそのものよりも「どこまでが自分の仕事か」という作業範囲の調整に頭を悩ませることがあります。
「デザイナーにお願いしたのに、なぜかこちらで文章を全部考えなきゃいけないの?」「逆に、頼んでいないことまでデザイナーに口出しされて困った」……そんな経験はありませんか?今回は、私が実際に経験した「作業範囲の混乱」という裏話をもとに、スムーズな制作の秘訣をお話しします。
ブランドブック制作で起きた「役割」のボタンの掛け違い

先日、あるお客様のブランドブック(つまり、会社のコンセプトやビジョンを社内外に浸透させるための特別なパンフレットのこと)を作成していた時のことです。
このプロジェクトには、私の他に「ブランドコンサルタント」という方が入っていました。その方はお客様の会社の立ち上げ当初からの戦略担当で、今回私はその戦略を形にする「デザイン担当」という役割。つまり、下表のような関係性です。
| 役割 | 担当する主な内容 |
|---|---|
| ブランドコンサル | 戦略立案、ページ構成案の作成、文章の統括 |
| デザイナー(松田) | 提供された素材(文章・写真)をもとにしたデザイン制作 |
| クライアント | 素材の提供、内容の最終確認 |
当初、私は「内容はコンサルタントが決めて、文章も作成。私はデザインに集中する」という認識でした。しかし、いざ制作が始まると、届いたのは支離滅裂な文章データ。年号が並んでいるだけで、会社の魅力が全く伝わらない内容だったのです。
【デザイナーの裏話】「指示不足」が招く制作現場の混乱
実は、コンサルタントからクライアントへ具体的な執筆指示が出ておらず、困ったクライアントが自ら不慣れな文章を作成されていたのです。(そもそもこのブランドコンサルタントの役割がどうなのかなという感じですが💦)
さらに困ったことに、コンサルタントからは「文章が良くないなら、デザイナーがクライアントに指示を出して書き直させろ」と言われてしまいました。これは明らかに、私が提示していた「デザイン制作費」の範囲を超えた、ディレクションやライティングの領域です。
もし私がその役割を担うのであれば、文章を書くくらいお客様の会社について知るために事前に以下のステップが必要になります。
- 徹底したヒアリングと取材(コンサルタントのメソッドを深く理解するため)
- 構成案の再構築(どのページに何を載せるかゼロから検討)
- ディレクション費・ライティング費の計上
これらがないまま作業を進めると、誰の指示に従えばいいかクライアントが混乱し、何度も修正が発生するという最悪の事態になりかねません。結局私は「それはデザイナーの範囲外です」と反論することになり、非常に苦い経験をしました。
HAT TOOL DESIGNが「直接取引」を大切にする理由
一方で、私の事務所(HAT TOOL DESIGN)では、間に誰も挟まずお客様と直接やり取りすることがほとんどです。その理由は、「デザイン以外の役割」もトータルでサポートできるからです。
直接お取引する場合、私はデザイナーという枠を超えて、以下のような役割を一人で担うことも珍しくありません。
- 企画・構成:お客様と一緒にページ割りを考える
- ライティング:魅力を引き出す文章を作成する(つまり、コピーライターの仕事)
- ディレクション:写真撮影やイラストの手配、進行管理
- マーケティング相談:集客やビジネスの進め方へのアドバイス
このように、最初から「どこまでやるか」をお互いに納得した上で進めるからこそ、ブレのない高品質な販促物が作れるのだと自負しています。
まとめ:トラブルを防ぐ「確認」のポイント
大きなプロジェクトで作業が細分化(つまり、担当ごとに仕事が分かれること)されている場合ほど、以下の確認が不可欠です。
- テキスト(文章)や写真などの素材は誰が用意し、誰が整えるのか?
- 具体的なページ内容や構成は誰が決定するのか?
- 修正指示は誰を経由して届くのか?
これらを事前に明確にしておくだけで、制作中のストレスは激減し、結果として「読者に響く良いデザイン」への近道になります。デザイナーに依頼する際は、ぜひ「この部分はお願いできますか?」と一歩踏み込んで相談してみてくださいね。
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