デザイン制作の泥沼化を防ぐ4フェーズ|2案提示と完成形で見せる初稿提案術
デザインの仕事をしていて、最も精神的に削られるのが「終わりの見えない修正」ではないでしょうか。良かれと思って出した案が否定され、修正を重ねるうちに当初のコンセプトが跡形もなく消えてしまう……。そんな修正の泥沼化を防ぐ鍵は、実は制作スキル以上に「提案の仕方」にあります。
この記事の結論:
- 修正を最小限にするには、初稿で「2案以上の提示」「制作意図の説明」「完成形の提出」を徹底すること。
- 難航した場合は、修正案を3パターン(指示通り・派生・推し案)提示して主導権を握り直す。
- どうしても決まらない時は対面ヒアリングを行い、最終手段として「ロボット」に徹して完遂させる。
こんにちは、販促物女性デザイナーの松田です。
私はデザイナー歴30年以上、累計2,100件以上の実績を積み上げてきました。現在は、修正回数を原則3回までとしていますが、ほとんどの案件が1〜2回で完成に至ります。しかし、かつては私も修正のループに陥り、出口が見えなくなった経験が何度もあります。
今回は、デザイン制作がスムーズに進むための「提案のコツ」を、状況に応じた4つのフェーズで解説します。
フェーズ1:初稿提案で「ほぼ完成形」を出す
修正の泥沼化を招かないために最も重要なのが、最初の提案(初稿)です。ここで以下の3点を押さえるだけで、その後の進行が劇的に楽になります。
1. デザイン案は2案以上(できれば3案)提案する
心理学には「3択だと選びやすい」という法則があります。1案だけだと「YESかNOか」の判断になりますが、複数あれば「比較」ができるため、クライアントの納得感が高まります。全く異なるテイストを提示することで、相手の好みを確実に探り当てることができます。
2. 制作意図(コンセプト)を言語化する
デザインをパッと見ただけでは、「なぜこの色なのか?」「なぜこの形なのか?」という意図は伝わりません。デザイナーが言葉で狙いや意味を補足することで、デザインに価値が生まれ、説得力が増します。つまり、視覚情報に「論理」という裏付けを持たせるということです。
3. ほぼ完成形で提案する
「まずはラフで…」と中途半端な状態で出すのは逆効果です。完成形を見せることで、相手は使用シーンを具体的にイメージでき、修正指示も「ここの文字を少し大きく」といった具体的な内容(微調整)に留まります。
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フェーズ2:修正指示が重なったら「3つの選択肢」を出す
初稿で決まらず、3回以上の修正に入ってしまった場合は、改めてこちらから3つのバリエーションを提示して主導権を取り戻しましょう。
| 案の種類 | 内容の詳細 |
|---|---|
| A案:指示通り | クライアントの修正指示をそのまま形にしたもの。 |
| B案:指示の派生 | 指示を汲み取りつつ、デザイナーの視点でバランスを整えたもの。 |
| C案:デザイナーの推し | プロとして「これがベスト」と考える解決策。 |
「なぜC案がおすすめなのか」を強く解説することで、クライアントも「プロが言うなら」と納得しやすくなります。
フェーズ3:一度立ち止まり「対面」でヒアリングし直す
メールやチャットだけのやり取りでは、微妙なニュアンスのズレが生じることがあります。修正が繰り返され、お互いの関係がギクシャクし始めたら、一度オンライン会議や対面での打ち合わせを提案しましょう。
- 相手の表情の変化を見ながら話すことで、本当のこだわりがどこにあるかが見えてきます。
- 「仕切り直し」として、目的(ゴール)を再確認する機会になります。
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フェーズ4:最終手段は「自我を捨ててロボットになる」
デザイナーとしてのアドバイスを聞き入れてもらえず、どうしても主観の強い修正(例:視認性が悪い色への変更など)を求められることがあります。ここまで来たら、自分のこだわり(自我)を一度横に置いて、指示通りに動く「ロボット」に徹するのも一つの処世術です。
【デザイナーの裏話】ロゴ制作で起きた悲しい結末
過去に一度だけ、眼科の先生のロゴ制作でフェーズ4まで到達したことがあります。最初は絶賛されたデザインも、知人の一言や先生の思いつきで「海のようなブルーにしてほしい」「次は派手なピンクに」と迷走。最終的にはレインボーカラーのロゴになりました。(ピンク・フロイドのジャケットようなロゴデザインになってしまったのです)

納品から4年後、その医院の前を通りかかると、看板は全く別のロゴに架け替えられていました。プロの視点から「それは良くない」とアドバイスしても届かなかった結果、結局はお金と時間を無駄にさせてしまった……。
デザイナーとして、非常に切なく、申し訳ない気持ちになった出来事でした。
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まとめ:信頼関係は「初稿の質」で決まる
修正の泥沼化を防ぐ最大の武器は、やはりフェーズ1(初稿の充実)です。最初から全力で、意図の伝わる提案をすることで、クライアントからの信頼度が高まり、その後のアドバイスも聞き入れてもらいやすくなります。
「修正が重なってツラい…」という方は、ぜひ次回の案件で「3つのポイント」を意識した初稿提案を試してみてくださいね。
修正に振り回されたくない!デザイン制作をご検討中の方へ。お気軽にご相談ください。
ここで紹介したコツはあくまで基本です。実際の制作では女性デザイナーの松田が直接話をお伺いして、女性目線の細やかなデザインで、あなたの想いを形にします。
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