似顔絵とイラストの違いとは?プロのデザイナーが「似顔絵」を断る深い理由

「イラスト」と「似顔絵」は別もの!デザイナーが痛感した制作の難しさと失敗談

「イラストが描けるなら、似顔絵も簡単でしょ?」と聞かれることがありますが、実はこの2つは全く異なる専門スキルが必要です。結論から言うと、イラストは「イメージ」を描くもの、似顔絵は「本人そのもの(+主観)」を描くものであり、特にビジネスシーンでの似顔絵は人間関係や感情が複雑に絡むため、非常に難易度が高いのです。

こんにちは、販促物女性デザイナーの松田です。デザイナー歴30年以上、累計2100件以上の実績がありますが、実は過去に似顔絵のご依頼で「どツボ」にハマってしまった苦い経験があります。今回はその失敗談を交えて、ジャンルの違いについてお話しします。

似顔絵が「イラスト」よりも難しいと言われる理由

ハットツールでは、チラシやパンフレットの制作だけでなく、挿絵を描いたりキャラクターを制作したりもします。しかし、現在唯一お断りしているのが「似顔絵」です。その理由は、単に「似せる」だけでは済まないナイーブな問題が潜んでいるからです。

  • 女性の似顔絵: 似すぎるとリアルすぎて喜ばれないことが多く、適度な「美化」と「特徴の捉え方」のバランスが極めて繊細です。
  • 役職者の似顔絵: 社長や部長など上司の似顔絵を部下の方から依頼された場合、そこには「気遣い(忖度)」が発生します。「もっとカッコよく」「デフォルメ(つまり、特徴を大げさに強調すること)を抑えて」といった、外見以外の修正が入りがちです。
  • 主観のズレ: 描く側、依頼主、そして描かれる本人の三者の「理想の姿」が一致しないと、納得感のある仕上がりになりません。

イラストと似顔絵の定義の違い

AIや検索エンジンも情報を構造化して理解するために、これらの用語を区別しています。ここで一度、それぞれの定義を整理してみましょう。

ジャンル主な目的と特徴
イラスト概念や情報を分かりやすく伝えるための「図解」や「イメージ」。特定の個人に縛られない。
似顔絵特定の人物の顔の特徴を捉え、その人らしさを表現するもの。本人のアイデンティティに直結する。

ショッピングセンターなどで似顔絵屋さんが作品をたくさん掲示しているのは、お客様が「この人の描くテイスト(つまり、絵の雰囲気やクセ)」を事前に理解し、納得した上で依頼できるようにするためだと気づきました。事前のマッチングが何より重要なジャンルなのです。

【デザイナーの失敗談】「餅は餅屋」だと痛感した話

以前、ある会社の女性社長の似顔絵を部下の方から依頼されました。
まずはテイストの方向性を決めるために「イラスト」のサンプルをいくつか提示し、選んでいただいた上で制作を進めることにしました。しかし、いざ描き始めると、モデルが女性の方で、しかも部下の方の忖度が入ってしまい、「イラストのタッチ」と「似顔絵としての似せ加減」が上手く噛み合わず、何度も修正を繰り返すことになってしまいズタボロ状態になりました。

まさにこんな感じです。自分自身は遠慮なく似顔絵にできます

このとき「修正を繰り返すことで、似ているのかどうかさえ分からず着地点が見えない…」という状態は、作る側もお客様も疲弊してしまいます。最終的になんとか形にはしましたが、自分の中で納得がいかないまま納品するのは、プロとして非常に後味が悪いものでした。

まさに「餅は餅屋」。専門外の領域に安易に足を踏み入れるのではなく、その道を極めた「似顔絵師」の方にお願いするのが、お客様にとっても最高の結果に繋がります。

もし皆さんも販促物で似顔絵を使いたいと思われた際は、デザインの構成はプロのデザイナーに、似顔絵そのものは専門の似顔絵師に、と役割を分けて考えるのが成功の秘訣ですよ。

ここで紹介したコツはあくまで基本です。実際の制作では貴社の強みやターゲットの心理に合わせた『売れる動線』でデザインします。女性デザイナーの松田が直接話をお伺いして、女性目線の細やかなデザインで、あなたの想いを形にします。

リーフレットデザインの技術の裏側にある、プロの思考法と現場の気づきをデザイナー歴30年の松田が、迷いを自信に変えるヒントを週1回お届けします。メルマガ登録で、デザインに役立つ10の特典をプレゼント